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日本の人口問題と外国人との共生を考える5公益社団法人 国際人材革新機構(iforce)  代表理事CEO  樋口 公人

日本の人口問題と外国人との共生を考える 5(コラム)

 

1.多文化共生を考える―外国人との共生―

 

いずれにせよ、外国人労働者なしには成り立たなくなっているのが、日本の社会の現実である。我々は、否が応でも外国人労働者と向き合わざるを得なくなっており、彼らとともにどう生きていくのか、すなわち「共生」ということを考えざるをなくなっている。

そこで、総務省の資料等に基づき外国人が日本で生活・滞在するうえで何が課題になっているのか」を示すと、「日本語の不自由さ」、「病院で外国語のできる人がいない」「行政の窓口で外国語が通じない」「外国語の表示の少なさ」など「言葉の壁」によるものが多い。 就労や職場環境については、「就職活動の仕組み」「仕事の内容の不明確さ」などが指摘されている。自治体においては、「防災を含む情報提供」「予算・担当人員の確保」「現状・実態の把握」「多国籍化による多言語・個別対応」をどうするか等々課題や山積みとなっている。以上のような課題が発生する要因の多くはコミュニケーションに起因するものが多く、一部はAI技術でクリアすることが可能と考えられるが、基本的には、我々受け入れ側の意識や意思が必要である。外国人に対する偏見を変える、100%の日本語を要求しない、外国について学ぶ等々の意識改革が欠かせない。

2.おわりに―選ばれる国へ―

 

1990年代に加速した経済のグローバル化はかつて開発途上国と呼ばれた国々の経済発展をもたらした。その経済発展の要因は、低賃金労働力を基礎とした国際的なアウトソーシング(海外生産、生産委託)にあり、その経済発展が先進国と開発途上国の経済格差を前提としたものでもある。しかしながら、これらの地域では経済発展とともに賃金が上昇していることが次第に明らかになりつつある。中国はもちろんのこと、タイ、フィリピンといったASEAN諸国はもちろんのこと、アジア最頻の国と言われているバングラディシュにおいてさえ、労働サイドから大幅な最低賃金の引き上げ要求がなされている状況にある。つまり、低賃金のアジアではなくなりつつあるということだ。現状では、本国より日本の方が賃金は高く、日本で就労すれば「稼げる」という状態になっているが、将来的に賃金格差が縮小するとすれば、日本は「稼げる」国とはみなされなくなっていく。さらには同じように高齢化により人手不足に悩む他国も外国人労働者の受け入れを進めている。その意味では、外国人労働者の受け入れをめぐって、日本は、「賃金」という魅力だけではなく、外国人労働者にとって、就労・生活環境の向上など、日本が「魅力的な国」となる必要が、が今まで以上に問われるようになってくるということである。外国人労働者に必ずしも選ばれる国でいられ続ける保証はない。

我々は、彼らの労働・生活を保障し、「共に生きていく」という途を真剣に模索する時期にきているのかもしれない。