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日本の人口問題と外国人との共生を考える2 公益社団法人 国際人材革新機構(iforce)  代表理事CEO  樋口 公人

日本の人口問題と外国人との共生を考える 2(コラム)

1-1.644万人の人出不足をどう埋めるか?

まず、考えられるのは、女性の活用である(働く女性を増やす(対策1))。

女性の労働力率(労働人口/15歳以上人口)を年齢別にとって年齢の若い順にその推移をグラフにすると、M字型の軌跡を描くことが知られている。これは、学校を卒業した後に就業活動に入り、結婚・出産を契機に職場から離れ、その後再び就労を開始するという女性特有のライフサイクルに規定された就労パタン反映しているが、こうした状況は女性労働力の減少、労働力供給が失われることを意味する。そこで、25-29歳の女性が就労を継続するものと仮定した場合、先の研究によれば、102万人の労働力の確保が可能になることがわかっている。

 

 

第二は、高齢者の活用である(働くシニアを増やす(対策2))。現在では、年金の受給開始年齢である65歳を境に多くの人々が労働市場から退出するが、69歳まで就労継続することを前提にすれば、男女合わせて163万人の確保を見込むことが可能となる。社会保障の観点からも、1人の高齢者を支える現役労働力の数が増えることになり、社会保障制度の持続可能性を高めることにもつながる。

 

 

第三は、生産性の上昇である。2016年に発表されたOECDの調査によると、自動化によって置き換えることのできる可能性が高い労働者の割合は7%となっており、2030年までの間に自動化が十分に進むと仮定すれ ば、実質的に298万人の労働力確保を見込むことが可能となっている。

以上のように、国内労働力の再編、生産性向上の取組みによって、かなりの労働力を確保することは可能である。

しかしながら、こうした取り組みをしたとしても、先の644万人の不足をカバーしきれない。差引は81万人の労働力が不足する計算となる(下図)。したがって、将来予測される労働力不足に対しては、好むと好まざるとにかかわらず、外国人労働者に頼らざるを得ないという現実がみえてくる。

 

公益社団法人 国際人材革新機構(iforce)

代表理事CEO 

樋口 公人